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□ノスタルジア
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〜ルークside〜



「ご主人様、まだ寝ないですの…?」
「ん…もう少し…」

自室の部屋の窓の縁に両腕を組み、そこから覗かせる夜空を眺めて、何十分という時間が過ぎたのだろう。

ミュウが心配そうに俺を見上げて声をかけてくる。
それでも、飽きることなく灰色の夜空を見つめていた。

この会話を何度交わしたのかさえ、もう分からないほどに。


さっきから頭に浮かんで消えないのは、ちょっと癖のある金色の髪と。青くて深く澄んだ綺麗な瞳の―今はもう自分の隣にいないガイのことだけ。


ふと後ろを振り返り、自分の室内を見回す。


脱いだ洋服は脱ぎっぱなしの状態で部屋のあちこちに散らかっていたり棚の中も凄い有様だ。
この光景はまるで、空き巣に入られた後の部屋のようだ。

この部屋の有様から見てとれるように、俺は毎日自墜落な生活を送っていた。
人に頼らずに頑張ってはみるものの、結果がこれ。いかに自分がぐうたら者なのかを僅か二日で思い知らされた。


…目を閉じて耳を澄ませば。

現在のこの部屋の状況と生活を見たガイが、お節介じみた言葉をつらつらと苦笑を浮かべながら自分に説教する声が飛んできそうな気がした。

そんなこと、あるわけがないのに。


…視線をまた 空へと戻す。

いつもはきらきらと輝いてみえる星が、今日は厚い雲に覆われて見えなかった。
昼はあんなにも青々しく爽快に晴れていたというのに、夕方になると天気が一変して、一点の雲さえ見当たらない快晴がいとも容易く崩されてしまった。

金色の光を放つ月も今日は陰ってしまって顔を出さず、あるのは地平線の彼方までひたすらに続く、閑散とした暗闇。

まるで心にぽっかりと穴が開いて、外から吹く夜気がその空洞を通り抜けていっているような、そんな形容が似合う、不安と孤独が胸を埋め尽くす。

ガイといれば、こんな―…


…そこで、さっきからつい
心の中で思い浮かべ、呼んでしまう名前が、ガイでいっぱいだということに今更ながらに正気づいた。



遠く離れていても尚、ガイの存在は俺の心に居座って簡単に消えないことに、ついつい面影を探してしまうことに、自然と俺の口もとは緩んでいた。



Fin.



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