「恋人と待ち合わせ?」 「―っ!!」 持ち上げたかばんを、さっきの教科書と同じように床に落としそうになった。 「そうなのね?」 確信を突いているティアの問い。 「な…なななんでそう思うんだよっ? つかそんなヤツいねぇっつの!」 動揺を思い切り露わにしていることに彼自身は気付いていない。 「朝一緒に来てる、身長が高くて穏やかな雰囲気の金髪を持つあの人よね?」 「……っ」 追い討ちをかける最中も悪戯みを孕んだ微笑を絶やさずに、もう一度ルークに問いかけると、ルークは観念して、仕方なく「……うん」、と頷いた。 「このことアッシュには…」 「心配しなくても言わないわ。それよりも、貴方自身が気をつけたほうが良いわね」 分かりやすいんだから。 そう付け足すと、 「そんなに分かりやすいかなぁ…俺…」 まだ自分の失態を図りきれていないルークが小さく抗議する。 「だって貴方、さっきから顔が真っ赤よ?」 仕方なくティアが含み笑いをして答えを言うと、えっ!? とルークは驚いて自分の頬に手を当てた。 「そういえば…時間大丈夫なの?」 「―全然良くないっ!」 すぐさま学生鞄を肩にかけ、騒々しく教室から出て行くルークを、ティアは柔らかな笑みを浮かべ、幸せそうに見送った。 Fin. †あとがき† ガイが名前だけの空気なお話に…!(´д`;) 2009,5/31 - 戻る - |