幻曲高校

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新しい学校を楽しみに足取り軽く通学路を歩いたのが10分前。

今は、足取り重く下を向いて歩いている。

注がれる、好奇と警戒の視線に苛まれているからだ。

私も最初は気のせいだと思っていたけど、まわりをなんとなく見渡すと、もれなく全員の色とりどりの眼がこちらをみていた。

……たぶん、この学園には日本人がいないんだ。
そうでなければああいう眼でこちらを見ることもないだろうから。

私は怖くなり、足速に校門を抜けた。

カラカラの喉を感じながら私は校舎内に職員玄関から入り、職員室を探した。
面接の時に渡された地図をたよりに校舎内を歩きまわる。

地図を見ながら歩く。
それによってすれ違う生徒の顔を見ずにすむことにありがたさを感じ、同時に悲しさを感じた。
昨日のワクワクは姿を消し、虚しさが胸を満たした。





……どうしよう。
歩き初めて15分。いっこうに職員室に着けない。

とにかく現在地にめぼしをつけ、地図をぐるぐるまわしてみる。

「……わからない」

すっかり途方に暮れてしまった。

普通の箱型の校舎なら、迷わないのに。

私は城のような校舎内をとぼとぼ歩いた。

時折顔を上げて現在地を確認し、地図をぐるぐるまわす。それを幾度か繰り返した。





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