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ここは古の都・京都。

その京都に茶道・舞踊で有名な紅家が居住している。
今は、茶道・舞踊の名門と言われているが、昔…まだ日本が『彩雲国』と呼ばれていた時代は、藍家に次ぐ大貴族であった。それは今でもきちんと『血』として受け継がれていた。



さて、その名門・紅家にはそれはそれは美しい少女がいます。名を、紅 秀麗といい紅家自慢の姫です。美しく聡明で優しい彼女はこの日本の男達の『高嶺の花』的存在。
そんな彼女だから…変な輩に狙われてしまったのだ…。






―紅家本家


広い邸のある一室に数人の女性達がいた。彼女達は今お茶を点てている少女に見とれていた。

―シャカシャカシャカ…

一定のリズムでお茶を点てる少女はこの邸の当主・紅 黎深の愛姪で紅家が誇る長姫、紅 秀麗と言い、次期家元候補といわれている。

「どうぞ」
秀麗はそう言い、師であり叔母である百合にお茶を差し出した。
百合は差し出されたお茶を飲み、ニッコリと微笑みながら
「結構なお点前で。…もう秀麗ちゃんに教える事はないようね」
と言い、

「皆さんもそう思いません?」と百合は側にいた弟子達に聞いた。

「流石秀麗様です!」
「次期家元に相応しいのはやはり秀麗様しかいませんわ!!」

弟子達の言葉に秀麗は顔を赤くさせ、
「…ありがとうございます。でも、私なんかまだまだです…」と言った。その様に百合や弟子達は庇護欲やら母性やら掻き立てられている。

その後、弟子達の腕前を見て終わる予定でいた。


―異変に気付いたのは弟子達が懸命にお茶を点てている時だった。

秀麗は、何気なく百合の顔を見た。すると…


「おば様?大丈夫ですか?顔色が優れていらっしゃらない様ですが…?」

百合の顔は、真っ青になっていた。

「…えぇ、大丈夫よ…」
百合は、そう答えたものの、ゆっくりと秀麗の目の前で倒れてしまった…。

「ゆ、百合おば様?!」

秀麗は百合の元にかけより、必死に声をかけた。

弟子達も血相を抱え師の所にかけてきた。

「おば様?!しっかりしてっ!!おば様!!」

「百合師!!」


秀麗が、百合の体を揺さぶろうとした時コツンと体に何かがあたった。

それを見た瞬間、秀麗も顔が真っ青になっていった。

「わ、私が淹れた…お茶…?」

最初に秀麗が淹れたお茶の器だった。


「わ…私が…お茶を…私のせ…いで…?」

フルフルと小刻みに身体を震わせ…そして…


「…ッ、イヤー−−−!!!!!」


秀麗は叫び、気絶してしまった…








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