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−−東京



見目麗しい二人の男が並んで歩いていた。

一人は携帯で誰かと話し、もう一人はその話している男を呆れた眼でみてた。


「…うん、そうだね。じゃあ君とはこれでおわりだね。じゃあ」
ブツッと電話を切り近くにあったごみ箱に躊躇いもなく、携帯を投げ棄てた。


「おい、いいのか?」
「いいんだよ、今の彼女はちょっとしつこかったし。清々したよ」
そういった男−−藍 楸瑛は、上着のポケットからまた携帯をだした。

「!お前携帯2台持ってたのか?」
「さっきの彼女に無理矢理持たされてたんだ。…さて、誰にしようかな、と。」
楸瑛はメモリ一覧を開き、ズラッと並んだ女性の名前を見て選んでいた。


「だ−−−ッ!!やめんかっ!お前というやつは少しは自重したらどうなんだっ!!」

「絳攸…もしかして、ヤキモチかい?悪いが、女性の肌を知っている私にはいくら親友の君の頼みでもちょっとね…」

「黙れっ!!この常春頭が−−−!!」

鳥肌を立たせながら怒る絳攸。

「じゃあ君の従兄妹の秀麗姫の事を話してよ」

その言葉に絳攸は
 「どうぞ、お好きな所にお電話してください」といった。

秀麗がこんな男の毒牙にかかったら黎深様に殺されてしまう−−いや、その前に切腹するが。

絳攸が少しズレたことを考えてると楸瑛の携帯が鳴った。

瞬間、楸瑛の顔は真っ青になり絳攸はざまあみろと呟いた。


着メロはクラシックの有名な曲−運命


その相手は…

「も…もしもし、どうしたんですか?…兄さん」

藍家当主でもある楸瑛の三つ子の兄からだった。
















あの三つ子の兄達からの連絡のせいで、楸瑛は仕事を休む事になってしまった。


そして今、彼がいる場所は実家の藍邸だった。


「一体、何事ですか?!急に呼び出して、勝手に上司に休暇届けまでだしてっ!!」

威勢よく三つ子の兄達に向かっていったが、そんな弟の言葉で弱気になる兄達ではない…。


「楸瑛、そんなに苛々しないで。カルシウムたりないんじゃないの?」


「そうかもね、牛乳とか小魚を食べるといいよ」


「そうそう」


−−ブチッ


「誰が私に苛々させてんですかっ!!」

楸瑛の怒声が屋敷に響いた−−−



 
−−空は晴天、眩しいまでの光が降り注ぐ。

自分の置かれた立場とのギャップに涙が出そうになった。




楸瑛は昨日の兄達との会話を思い出していた。




「で、兄さん方、用ってなんですか?!」

電話一本で本家に戻され、しかも勝手に休暇届けまでだされたんだ。
これは相当な事件が起こったんだろうと思いあぐねいていた。

しかし…兄達の口から発せられたのは信じたくない事だった−−



「楸瑛、明日から我が家に女の子が住む事になったから、君、面倒見てあげてね」

三つ子の兄達の笑顔が憎たらしく見えた−−


「は、はぁ?!なんで私がっ?!それに、どうして我が家に女の子がっ?!」

楸瑛の大声に耳を塞いでいた兄達がまた、いつもの調子で事情を話し始めていった。




そして聞き終えた後、楸瑛は一言叫んだ。


「冗談じゃあないっ!!!」













 

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