卍謹厳実直卍


□僕の熱、君の体温(☆)
1ページ/4ページ

ほどけた髪を緩く結い直しながら、肩越しに和さんを見た。

無邪気な寝顔だった。

こんな汚れた欲の犠牲になっても、

この人は汚れないんだなと思った

それがますます己の中の歪んだ感情を増殖させる。

あまりにも無防備に、あまりにも無意識に、

己以外の人に笑いかける和さんが憎くて憎くて仕方なかった。

和さんの事が大切だった。

大事にしていたかった。

しかし、己の中に小さく芽生えた欲は、

日々の細かい糧を吸収し、やがては抑え切れない程に成長

していった。

それが弾けたきっかけはほんの些細な事。

おそらく和さんの性格を知る者は、

彼の性格上、そうなって当然だと口を揃えて言うだろう。

でも、それが引き金となって俺の理性を弾き飛ばしたのだ。

堕ちるのは簡単だった。

衝動的な欲望が体を支配し、無理矢理乱暴に労りもなく

ただ、本能の赴くままに抱いた。

流されてた涙も、怯えた声も、全てを無視をして。

そして己の欲望を吐くだけ吐き散らした後、

和さんは意識を失っていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ