卍謹厳実直卍
□僕の熱、君の体温(☆)
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ほどけた髪を緩く結い直しながら、肩越しに和さんを見た。
無邪気な寝顔だった。
こんな汚れた欲の犠牲になっても、
この人は汚れないんだなと思った
それがますます己の中の歪んだ感情を増殖させる。
あまりにも無防備に、あまりにも無意識に、
己以外の人に笑いかける和さんが憎くて憎くて仕方なかった。
和さんの事が大切だった。
大事にしていたかった。
しかし、己の中に小さく芽生えた欲は、
日々の細かい糧を吸収し、やがては抑え切れない程に成長
していった。
それが弾けたきっかけはほんの些細な事。
おそらく和さんの性格を知る者は、
彼の性格上、そうなって当然だと口を揃えて言うだろう。
でも、それが引き金となって俺の理性を弾き飛ばしたのだ。
堕ちるのは簡単だった。
衝動的な欲望が体を支配し、無理矢理乱暴に労りもなく
ただ、本能の赴くままに抱いた。
流されてた涙も、怯えた声も、全てを無視をして。
そして己の欲望を吐くだけ吐き散らした後、
和さんは意識を失っていた。