■物語■
□ひびやんと先輩
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それは、少女が3年に進級してしばらくたった、うららかな放課後の出来事━
「先輩!」
少女が校内での一日を終え校門を出ようとした時、聞き慣れた声に呼び止められ振り返る。
「あれ?ひびやん。どしたの?」
振り返ると、自称「イイ男ウオッチャー」の後輩、日比谷 渉が思いつめた表情で立っていた。
「ジブン‥‥先輩に相談したい事があって‥‥その‥」
「ここじゃなんだし、公園でも行こうか?」
日比谷の暗い雰囲気を和らげようと、明るく務めながら、少女は後輩を公園へと促した。
「実は‥‥今日こんなのもらっちゃいまして‥‥」
日比谷から差し出されたのは、可愛いらしい封筒に入ったラブレターだった。
(こ‥‥!これは‥‥!)
見覚えのある封筒に少女は目を見開き、日比谷から手紙をひったくった。
「あ!何すんスカ!勝手に開けないで‥‥ぐぉ」
取り返そうとまとわりついてくる後輩を振払い、押しのけ、急いで封を開ける。
中に入ってた手紙の内容は‥‥‥‥
「美味しいカレーの作り方」
だった‥‥。
「ねぇひびやん!中身見た?」
少女に振払われた痛みに悶てる日比谷を振り返り質問する。
「見てないっスよ〜いててて」
少女はホッと安心して、一番最後の便淺に書いてある宛名を見る。
━やっぱり━
そこには見慣れた文字で少女の名前が綴られていた