■物語■

□ひびやんと先輩
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この手紙は、一昨年のチアリーディング部の合宿の時、悪友の藤井奈津美と作成した悪戯ラブレターだったのだ。
当時の野球部の部長が、調子に乗ってイケ好かない奴だったので、藤井と共謀し、下らない内容のラブレターを奴の靴箱に入れ、浮かれてる様を見て陰で大爆笑したのである。
その後、差出人の少女の元へやってきて、手紙の真意を求めてきた。

「君、そんなに俺にカレーを作りたいなら付き合ってあげてもいいよ」

なんて馬鹿げた事を言うから、少女は思わずチョップで額を割ってしまったのである。

(奴は泣きながらどっか行って行方不明って聞いたけど‥‥まさかこんな形で復讐されるなんて‥‥。)

小さく溜息を吐き、少女はうなだれた。
その瞬間、バッと少女の手元から、手紙が取り上げられる。
ふと気付くと、日比谷が不満気に少女の目の前に立っていた。

「いくら先輩でもヒドイっスよ!人の手紙を勝手に読むなんて!今日はもう失礼するッス!」

日比谷は走って公園をでて行く。少女は追いかけようとするが、さすがに現役野球部にはかなわなかった。

(せっかく‥‥コツコツと勉強して、さり気無くダイエットして‥‥本命以外の男からもちやほやされ出して‥‥学園のマドンナ的存在になれたのに‥‥あんなくだらない内容の手紙出してたなんてバレたら…〜 !私の地位がボロボロだわ!途中に「ルウの変わりに好きな子のう○ちを入れると魅力UP★」なんて事も書いてあるんだよ〜!!‥‥‥‥日比谷カムバック!!)




少女は途方にくれてベンチに座っていた。ふと気づくと、辺りは闇に包まれ初めてた。

(もう‥‥しょうがないか‥‥)

色々と、今の地位を失わずに済む案を考えていたが、結局何も浮かばず、諦らめて帰ろうとしたその時!

「先輩!!」

なんと、公園の入り口から日比谷が息を切らして少女に近寄ってきたのだ!
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