一葉

□お節介な貴方
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「食事まだだろ?一緒に行こうぜ」

そう言った途端ティエリアは眉間にシワを寄せ…。

「嫌だ!」

…なんだかご立腹の様子。

「そっか、じゃ仕方ないな」

あまり怒らせても仕方ないし。

今日ぐらいはいいかと思ってそう言ったのだが…。

ティエリアの物凄く怒った顔を見て驚いた。何でコイツ怒ってるんだ?










何なんだ!何だそれは!

いつもいつも無理矢理引きずっていくくせに!

「誘わないのか、いつもみたいに」

「いや、気がのらないんだろ?苦手な地上だし…」

「別にどこにいても気はのらない!」

腹がたつ腹がたつ!
俺が怒ってる理由がわからないと言う顔が、余計に腹がたつ。

俺の日常を引っ掻き回して、入り込んで来たくせに、知らん顔していなくなる。

「貴方は酷い人だ!」

もう、俺をこれ以上かきみださないで。






…分かった…、コイツいつも飯に誘われるのにそれがなかった事に腹たててるんだ。

諦めた頃今更誘ってきた俺が許せないんだ。

理解した途端、可愛くて仕方ない。

何だ、可愛いとこあるじゃないか。
エイミーもこういうとこあったなぁ、なんて思い出して更に可愛く思える。

「食堂は行かないよ」

笑ってティエリアに近づく。

頭に手を置き

「買い物ついでに適当に買ってきたから、一緒に食おう」

ふっとティエリアの纏う空気がほどけて柔らかくなる。

「そうか、なら仕方ない」

お姫様のご機嫌はなおったらしい。







ロックオンは私を自室に招き入れてコーヒーをいれてくれた。

私は紅茶派なのだが…まぁ郷に入っては郷に従えと言うことか。

紙袋から何やらだしている。

「ほら、俺の好きなのばかりだけど」

テーブルにはパンが置かれる。

「これは?」

「こっちがタマゴ、こっちがハム&チーズ」

何か挟んであるクロワッサンは2つずつ、最初からロックオンは私の分も計算にいれていたのか?

何故か、頬が緩みそうになるのを必死でこらえて顔をつくる。

ボリュームのあるクロワッサンサンドは一つでも多そうだ。

二人でもくもくと食べる。

あ、大きい口。

バクバクという擬音がぴったりだ。

私も一口食べる。
適度な塩気がタマゴにあり、かなりクロワッサンも美味しい。
挟んであるレタスもしゃきしゃきだ。

モソモソ食べてると

「旨くないか?無理して食べることないからな」

「いや、そんな事はない」

食べたいと思えるくらいには美味しいというと、彼はとても嬉しそうに笑う。

私は、その笑顔が意外と気に入っている。
なるべく見ていたいと思う。

彼は二人分のコーヒーを入れ直し、本を読むという。
私もさっき読んでいた本を読もうと端末の電源を入れる。

「他のやつもそうだけど、皆端末で本を読むんだな〜」

「そういえば貴方はほとんど紙ベースですね」

「こっちのが好きなんだよ」

嵩張るし、持ち運びに便利でないし、なにがいいのか分からない。

「そうだな、確かにティエリアの言う通り合理的でないな。ま、この面倒さ加減がまたいいんだ」

…全く分からない人だ。

ロックオンの側で暫し、読書に夢中になる。

私は、彼のにおいのするベッドに足を投げ出して壁を背に座る。

彼はベッドサイドの椅子に座っている。

ぱら

時々彼が紙をめくる。

コーヒーを飲む。

部屋に他人がいるのは苦手な筈なのに、ロックオンだと安心する。

不思議だ。

毎日一緒にいる時間が長いからだろうか?
他の人間より、私に関わろうとするからだろうか?

これはいい事なのかどうか。ヴェーダに聞く必要があるな。




ティエリアの纏う空気が柔らかい、気のせいか?

しかし何でこんなに気になるんだ、コイツが。

刹那やアレルヤも手のかかる弟のようではあるが、また二人とも違う。

俺は何を血迷ってるんだ。

コイツは仲間、しかも男。

だけど自分の中に芽生えて大きくなる気持ち。

俺はお節介な性分だから、多分その延長線上。
そう自分を納得させる。

突然ティエリアが話しかけてきた。

「夕食は…一緒に食事をしよう…、もっ、もちろん食堂でだ!深い意味はないぞ!」

恥ずかしそうに、拗ねたように話すティエリアを見て俺は凄く嬉しくなった。






END

20081209 0854i いつものスタバにて
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