一葉

□お節介な貴方
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作業の合間に食事をとる。

ガンダムの実機体が出来上がるまでは、ずっとシュミレーションばかりだったのでそのデータをヴェーダにアップしている。

もうすぐ機体を使ってのシュミレーションが始まる。

それぞれの適性にあった機体を感慨深く眺める。

まるでこういう人材が集まるのが分かっていたようだ、とティエリアは思う。

マイスターはMS操縦訓練以外にも各種兵隊としての最低限の訓練をクリアしなければならない。

軍のMSパイロットより適性検査は厳しい。

ちゅっとアルミパックのゼリー飲料から口を離す。
クルクルと丸めてキャップを閉める。

ティエリアは部屋を出ていく。






「ティーエーリーアー、お前飯…」

言いながらヴェーダの端末室に入ると…作業中のまま、ティエリアの姿は無かった。

卓の上には空になったアルミパック。

「アイツ、また…!」

チッと舌打ちしてロックオンは顔をしかめる。





「ティエリア!」

何度もしつこく呼ばれて、くるりと振り返ってうんざりしたように

「なにか?」

といい放つ。

「お前、またちゃんと飯食わなかったろ」

探し回って基地内を走り回っていたんだろう、ロックオンが息をあげている。

「栄養は摂取しましたが?」

「お前ね〜」

肩を落として大げさなリアクション。
…ウザい。

「ちゃんと食事をとれよ、あんな流動食みたいなんじゃなくてさ」

「より確実に栄養を摂取出来て、尚且つロスもすくない。他にサプリメントできちんと管理をしている、問題ない」

「だからそんなにガリガリなんだろ、顔色悪いし」

「気のせいだ、マイスターの基準値に達している」

全く、このロックオン・ストラトスという男はどうして私に構うのだ。

毎回うっとおしい事この上ない。

やれ、きちんと食事をしろだの、協調性を持てだの。

「食事は栄養を摂取するだけじゃないんだぞ?大事なんだから。夕飯は一緒に食堂行くぞ」

黙ったままの私に

「ティエリア、嫌がっても連れてくからな」

…なんでこんなにお節介なんだ。










「珍しいな」

「本当だ、マイスターで集まるのってシュミレーションの時か、ブリーフィングの時くらいだもんね」

刹那とアレルヤが先に食事をしていた。

「たまには色々話をしながら食うのもいいだろ?」

ティエリアは仏頂面をしてトレイを持ち俺の横に立っている。

「ホラ、ティエリア」

自分の横の椅子を引いてやる、彼は仕方なさそうに座った。

「なんだ、ちゃんと食わないと肉つかないぞ?」

「贅肉はマイスターに必要ない」

ぴしゃりと言われて苦笑いするロックオン。
毎日毎日こんな感じだ。








休暇を地上でとることになった。

たまには地上で生活しないと体に悪影響があるためだ。

只でさえ地上嫌いのティエリアには気が重い。
何と言っても親睦を深めるとかいう理由でマイスター全員一緒なのだ。

南の基地のある島に到着してすぐ、ロックオンの姿がないのに気付いた。

とはいえ僕には関係ない。

そう思いながら、何故気にかかるのか理解出来ずにいた。

特にすることもないので…、なんとなく談話室にいた。

情報端末に目を通す。

それは、栄養についての本がデータとして納められている。

無駄のない栄養摂取について学習するつもりだ、ロックオンに色々言われたくないから。

暫く読んでいるとそわそわしてきた、自分でも分からず時計を見て納得した。

食事の時間だ、いつもならロックオンに引きずられて食堂に行く時間だ。

……なんだか無性にイライラする。

あれだけしつこく毎日私に構っていたくせに。
私を放って、どこにいってるのか。

腹が立ち談話室のソファーにうつ伏せに寝転び、膝からしたをばしばし叩きつける。

腹がたつ、腹がたつ。

なんなんだ!どーして私がこんな気分になるんだ!

あんな人間なんか気になるんだ。

むくっと起き上がり、ヴェーダにリンクしようとむくれた顔をしてソファーに座り直した時、待ち焦がれた声。

「ティエリア!いるか?」








やべー、遅くなった。

せっかくの休暇、読みたかった本を買い込んでたら遅くなった。

ティエリアまたゼリーで食事終わりにしてないだろうな。

そう思いながらティエリアの自室やヴェーダの端末室にいないお姫様を探す。

「ティエリア!いるか?」

談話室に入る扉前から、声をかけながら顔を覗かせると、驚いた顔をしてソファーに座るティエリアがいた。
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