二葉

□キス
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「いやだ!どうしてなんだ!」

「ティエリア…」

ティエリアがカンカンに怒ってロックオンに詰め寄る。

「僕は離れないからな!そんな事したら…死んでやるっ」

「ティエリア…っ!」

ロックオンは優しい、だからそう言えば絶対に見捨てられなくなるのをティエリアは解っている。
彼は絶対にティエリアを放り出すなんて出来ない。

「何でそんな事を言うんだ?僕が嫌いになったのか?」

「違うんだ、そんなんじゃないんだ。ただちょっとお前は俺に依存しすぎてるから…」

「いやだっ!」

こうなったらテコでも動かないのがティエリアだ。
ロックオンは疲れた顔でため息をつく。

「………分かったよ…」

ロックオンがそういうと、ティエリアは花が開くように笑う。

普段笑わないだけにそれは強烈な印象を与える。

嬉しそうに笑って、ロックオンに抱きつくティエリア。
ロックオンはその細い体を受け入れ、優しく抱く。
沈痛な面持ちで。

死んでやると言ったら本当にするのだろう、今だってロックオンの首に回っている腕には痛々しい包帯が巻かれてる。

「良かった…、僕の傍にいてくれるんだ?どこにもいかない?」

ここで『そうだ』と答えなければ、ティエリアはまたロックオンの気を引く為に何かをしでかすだろう。

それが解っているからロックオンもティエリアの望む答えを与えるしか出来ない。

突き放せばまたティエリアは自殺未遂をする。

いや、躊躇ない分、本当に死んでしまうだろう。

もし、ティエリアが死んだら…ロックオンはその事実に苛まれ続けるだろう。

それでティエリアは満足するのだ。

死んでも死ななくても、ティエリアの行為でロックオンはがんじからめになっていく。

「ああ、そうだな」

悲しそうに笑うロックオンを不思議そうに見るティエリア。

どうして悲しそうなんだろう、僕はこんなに幸せなのに。

幸せを分けてあげたい、僕が今どんなに幸せか分かち合って欲しい。

ティエリアは背伸びしてロックオンに口づける。

触れた柔らかいところから、幸せな気持ちがアナタに流れていけばいい。

そう思って、触れるだけのキスを繰り返す。
「ティエリア…」

ロックオンが急にきつく抱き締めてきた。

息が止まるくらいきつく。

もっと、痛いくらい抱き締めて。

アナタを独占したいんだ。

そしてティエリアは微笑み、ロックオンの耳元で囁く。

アナタは僕のモノだよ、と。









END

200905051505i
 

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