闇遊戯受け
□欲
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これは一体どうしたと言うのだ?
普段は滅多に甘えてくることのない小さな恋人が今、自分の膝の上に居座っている。
強制などではない。
こいつが自ら望んで、だ。
明らかにおかしい。
「変なものでも食ったか…」
聞こえないように呟いたはずが、近すぎる距離の所為で相手には丸聞こえだったようだ。
その表情が柔らかく歪んでいる。
クスクスと笑う声が聞こえたが、俺は何故こいつが笑っているのか、いまいち理解できなかった。
「俺だって男だぜ…?」
こいつは俺の耳元で小さく呟くと首に両腕を絡めてくる。
その動きはまるで最中を思わせるほどいやらしく、目の前にある紅い唇は、まるで口付けを強請っているかのように小さく開かれ、俺を見据えてくる大きな瞳は己の[欲]を色濃く映し出していた。
「何だ…誘ってるのか?」
俺が顎に指を添える。
いわゆるキスの前、だ。
普段のこいつなら顔を真っ赤に染め上げ自分を拒むのに…今回はそれが見て取れない。
それどころか俺の指に舌を這わせている。
最中ですら自分からすることはないのに…俺はなんだか面白くなり何をすることもなく、ただこいつの好きにさせた。
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