闇遊戯受け
□マフラー
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「さ、寒すぎるぜ…」
冷たい風が吹く中、遊戯達は身体を丸めながら歩いている。
そんな中遊戯がふと隣を見ると白い息を吐き、耳を真っ赤に染めた《遊戯》が眉間に皺を寄せながら歩いている。
よく見るとその身体は小刻みに震えていて…
「もう1人の僕、大丈夫?」
遊戯が心配して声をかける。
「あぁ、大丈夫だぜ…」
《遊戯》のことだ、答えは分かり切っていた。
しかし当の本人は先程よりも更に身体を振るわせ、その表情には寒さという苦痛の色が見えだしていた。
「(どこが大丈夫なんだか…)」
小さく溜め息をもらすとマフラーを外し、《遊戯》の首に巻き始めた。
「あ、相棒…?」
首にマフラーを巻いた《遊戯》が不思議そうに遊戯を見つめる。
こんな寒い日にマフラーを貸す、という行為のが《遊戯》には分からなかった。
「さぁ、もう帰ろう?」
遊戯はそう言うとまだ固まっている《遊戯》を余所に、一人先へ先へと歩みを進めていく。
「待ってくれ、相棒!」
《遊戯》は先へと歩いていった遊戯の元へ駆け足で向かっていった。
「何でマフラー貸してくれるんだ?」
後ろから聞こえた声に遊戯は振り向くこともなく、前を向いたまま素っ気なく言った。
「知らない」
更に大きくなった抗議の声を聞いている遊戯の顔は、幸せに溢れていた。
君の為ならこんな風、寒くない。
僕はただ君の笑顔が見たかっただけなんだ。
こんなこと君には絶対言わないけど…
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