闇遊戯受け

□雨
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ぽつ、ぽつ…


誰もいない廊下に雨音が響く。



ぽつ、ぽつ…



窓の外に視線をやれば空がどんよりと曇っている。


遊戯はそれを見て小さく溜息をついた。


そして視線を廊下に向けると、遊戯はそのまま歩いた。


向かうは、教室。


雨が止むまで教室で時間を潰そうと考えたのだ。



ぽつ、ぽつ…



響く雨音をBGMにしながら、遊戯は静かに歩いた。



教室につくと遊戯はそのまま自分の席に座った。


正しく言うと《相棒》の席だが…


遊戯は椅子に座ったまま、また窓に視線をやった。


しかし雨は弱まるどころか、次第に強まっている。


遊戯は今日何度目かも分からない溜息をついた。


何故あのとき、雨が弱いうちに走ってでも家に帰らなかったのだろう。


そう思うと、少し後悔した。


ゴロゴロ…


雨が強くなったかっと思えば、今度は雷までもが鳴り出していた。


雷によって真っ暗だった教室が頻繁に明るくなるようになった。


遊戯はまた、溜息をついた。


こう暗いとデッキの整理もできないからだ。


ただ、電気のスイッチまで歩いていけばいいだけの話だが…


今の遊戯にはそれすらも面倒だった。


遊戯はふと考えた。


自分は何故こんなに暗くなってまで、この教室に残るのか。


雨が弱まるのを待つ。


そんなのは言い訳に過ぎない。


分かっていた。最初から。


今日はあの男が学校に来そうな気がしたから、教室に残っていたのだ。


しかし、そんなものは予感に過ぎない。


現に、今ここにいるのは自分一人だけなのだ。


遊戯は鞄を持ち、席を立った。


あの男は来ないし、雨も弱くなる気配がない。


ならば、これ以上強くなる前に帰った方が得策だろう。


そう思った。


その時、


教室の電気がついた。



遊戯が驚いて教室の入り口に視線をやると、そこには自分の待ちわびた男が立っていた。
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