月なきみそらの剣士

□かごのそと
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た・い・へ・ん・だ



大変だっ!!!



声がした方へ向かう段階で
すでに目の前は火の海だった。


「名無し様、この船はもう持ちません!
殿下より避難命令が出されております!
名無し様もこのボートで避難をっ」


『いえ、私は後で結構です!
いざとなったら飛び込みますから!』


「・・・は?
えええっ!?」


止まっている暇は無い。
一刻も早く殿下達のもとへ戻らなければ。



すぐ前方にみえる甲板に
まだ火の手が届いていないのを見て安心した。


『殿下っ』



と、思いっきり呼んだんだけど
甲板に殿下達御一行と思われる人影はなかった。



その代わりに



ライオンと
オオカミと
アヒルと
ウサギがこちらを見ている。




この船に動物を乗せていたなんて
初めて知ったけど


殿下達のが此処にも居ないということは
もうとっくに脱出なさったと言うことだろう。

安心したところで
自分も避難ボートに乗りに行こうと
来た道を引き返そうとしたその瞬間
バキバキッと柱が折れるような音が響いた。


ハッと上をみると
ゆっくり柱が倒れていくのが見えた。


そしてその柱が倒れる方向には
かわいい動物達。



守らなければならない。
そう思ったと同時に
自分の体は動いていて




びっくりするくらい強い衝撃と
激しい痛みと熱さに襲われて


自分でも思った。



私、これはもう・・・





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