BASARA短編

□貴方の守り方
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お前は醜い


お前は穢れている


お前は



幸せになどなってはいけない



政宗




お前はどうしたら



生きる希望を失う?





*






「ねぇ小十郎!梵見なかった?」


長い渡り廊下の向こう側から成実が手を振って
近付いてきた。


「ああ、政宗様なら畔戸と
町にお出かけなさっている」


「ええー!!
それ俺も行く予定だったんだけど!!」


もうお互いの距離は縮まっているというのに
そんな大声を出されては困る。


小十郎は大きくため息をついて成実を諭す。


「・・・成実。政宗様が畔戸を好いておられ
るのは知っているだろう。
主君の恋路を邪魔するものではない」


あの方が何よりも大切に想っていらっしゃる
畔戸。

その畔戸も政宗様のために刀を振るう。


なんとも理想の二人ではないか。


俺の言葉を聞いているのか、いないのか。
しばらく文句を垂れた後
成実は玄関の方へ駆け出してしまった。



邪魔をしないと良いが




小十郎はそう思いながらも自身と
投げ出して遊びに行った主君の仕事を
片付けるため、執務部屋へ消えていった。











その一部始終を見ていた人物が一人。
口元にうっすら笑みを表し
静かに障子を閉めた。



政宗の光を失わせるのは
案外簡単な事かもしれぬな。



ただいま閉めた障子が再び開いた。



「母上、お呼びですか?」



「待っていましたよ」


入ってきたのは私の可愛い小次郎。
政宗の弟として生を受けたばかりに
この子は伊達家の当主になれなかった。


この子には才能も美貌もあるというのに


「小次郎、今日は大切なお話があります」


母の言葉に
身を乗り出す小次郎。


「貴方の妻にふさわしい女をみつけました」







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