BASARA短編

□繋げよう、我が手
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伊達軍諸君。
君達の仲間を人質として預かった。彼等の命が惜しければ、我々に服従の意を示してもらおう。



そんな手紙が届いたのは今朝。


確認してみると、一部隊の帰還が昨晩から確認されていなかった。
その数、およそ20人。



もちろんのこと
伊達軍緊急会議が行われた。

「人質と来るとはな。coolじゃないねぇ」
政宗の言葉は軽いものの、決して表情は緩いものではなかった。
必死で怒りを抑えている。そんな感じだ。

「政宗様、相手はあの竹中半兵衛。油断は禁物です。」
小十郎は怒りに任せて突撃しそうな政宗を宥めながら言った。


「だが、こうしてる間にも仲間が殺られかけてる。俺は兵を見捨てるような頭にはなりたかねぇ」

「じゃぁ、梵は俺達が豊臣に服従しろって、そう言うのッ!?」

「そうじゃねぇ、成実。
政宗様も考えていらっしゃる。」

無論、政宗様はどうやって人質を救い出す方法をお考えなのだろうが。
この方は、きっと無茶をなさる。


その時、廊下の方が騒がしくなった。


「父ちゃんを助けて!お殿様!」
子供の声。
「私の夫が・・・夫がその隊に居るのです!どうか・・・」
若い女の声。
「アイツ、いい奴だったんだ!頼んます、筆頭!」
兵士の声。

「コラ!静かにしやがれ!筆頭は会議中だ!」


一喝されても止まない叫び声。
他の兵士も騒ぎを何事かと出てきた。


一軍隊が拉致され命が脅かされている。その事実を知り、明らかに士気が下がりつつある。



竹中は、これも狙いか。




もはや逃げる事はできない。



このままじゃ、兵達の士気も信用も何もかもを失う。


政宗様は豊臣に頭を下げるつもりはない。
だが、人質はなんとしても救い出すおつもりだ。

しかし、危険すぎる。
罠かもしれねぇ所に政宗様を行かすワケにはいかねぇ。

どうする。



ふと



俺の袖を引く手に気が付く。
目で追うと
女でありながら伊達軍の武将の畔戸と目が合った。

畔戸は小十郎の耳を掴むとグイッと近くに寄せ耳打ちをした。



『後で話があります』
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