BASARA短編
□寂しさを甘さに
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「おーい!畔戸!
こっちこっちー!」
『待ってよ慶次ー!』
目の前に差し出された彼の手。
「ホラ、だから手ぇ貸しなって。」
だけど私はその手をとらないで自力で慶次に追いついた。
『結構』
畔戸は歩きにくそうなくせに俺を追い抜かして先に行ってしまった。
近づいても、距離をおく。
「なぁー、何そんなに怒ってんだよー??」
俺がせっかく
伊達ん家まで迎えに行って畔戸を祭りに招待してるってのに。
そう、今日は祭り。
だってのに
畔戸はさっきから
とっても不機嫌。
俯いて、黙ったまま。
寂しそうに歩く。
待て待て、俺傍にいるぞ?
俺に心当たりがないってんだから、こりゃ厄介。
「俺、なんかしちまったかな。」
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