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□あの、きれいな髪は
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がばっ、

勢い良く起き上がれば全身にかいた汗が酷く気持ち悪く感じる

辺りは見慣れた机やベッド。ぼんやりと目の前を見れば今月に入ったばかりの日めくりカレンダー


....
(此処は、わたしの部屋…)


じとりと額につたう水分を手の甲で拭えば、
だんだんと思考が回りはじめる。



「また、だ」



また あの夢


小さい頃から定期的に見る、夢

私は刺された事も動けない程血を流した事も声が出なくなった事もない



なのに、見てしまう

自分が死ぬ夢




毎回、見るたびに気持ち悪い程に全身が汗ばんで気分も最悪だ。


こんな事になった事は無いのに、

本当に経験した事があるようにリアル…で




心が、酷く痛くて





「…貴方は、誰?」


橙色の鮮やかな髪は
いつも酷く歪んでる




なんで知らない人が、知らない事が、経験していない内容が


わたしの 夢に、?




夢のなかではしっかりと覚えていた、橙色の髪の人

けれど、起きてしまえば鮮明な髪の色しか思い出せない



だれ、だれ


これは、何?





知らない人の筈なのに、きっと私は思い出さなきゃいけないような気がして


毎年この季節に入ると毎日のように見るこの夢の、内容の意味を知らなきゃいけない気がして





(知らないのに思い出さなきゃいけない?)


思い出すような記憶も無いというのに




矛盾だらけの夢に、いっそのこと呪いじみたような物さえ感じてしまう




貴方は誰?

私は、私の?


ぐちゃぐちゃで訳の分からないこの、この?




あぁ、気持ち悪い


分からない事が多すぎて、何を考えれば良いのかすら分からない。



微睡みの中で、ふと時計を見ればもう出かける時間だ
怠い身体に鞭を打って、動き始めた



あの夢のことは、一旦忘れたふりをして










*******





ゆらゆら、今日の天気は雲が重くて空が落ちそうな程に低い気がする


結局、朝ごはんを食べ逃し駅へと足を向けている

まぁ、ご飯なんて食べるような気分でもなかったから良いのだけれど



何時ものように何となく過ぎていく時間

なの、に



(何だこの感じ)


嫌な、いや
何かあるような感じ



こんなに曇っているから、変な感覚に襲われるのだろうか

とにかく何か何か何か




起きそう、な







「落としましたよ」







ひらり響いた声



振り向けば、夢で見た


夢で、夢で、夢で







「名前…、?」




「さす、け」




どくりどくりと
心臓が警鐘のように鳴り響いた。





あの、きれいな髪は

(逢ってしまった)



鮮やかな橙色




お、もい だ す





*****

支離滅裂/(^O^)\


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