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□第14話
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セブルスは玄関のところで待っていた。アリスが追いつくとドアを開け出て行った。
誰もいない路地裏に行きセブルスは腕を差し出した。
「姿くらましをする」
セブルスは短くそう言った。
「あ、うん」
アリスはそう言って差し出された腕を持った。
あらゆる方向から圧力をかけられているような感覚に、アリスは気持ちが悪くなりそうだった。
着いたのはホグズミードだった。セブルスは黙って歩き始めた。アリスは急いで後を追った。
アリスは、セブルスがどう感じているのか分からず胸が苦しくなった。戻ってきたことを怒っているのだろうか?
先程の状況からして、小説と物語は何も変わっていないようだった。つまり、セブルスはリリーとは仲違いしたまま死喰い人になってしまったのだろう。
何の言葉も交わさぬままホグワーツに到着した。セブルスはまっすぐ校長室に向かった。校長室のドアをノックすると、ダンブルドアの穏やかな声が招き入れてくれた。
校長室に入り、アリスは思わず声を上げそうになってしまった。イオが何食わぬ顔で椅子に座っていたからだ。
「やあ」
イオは涼しい顔で言った。
「ここで何してるの?話が違うじゃない!」
アリスはイオに詰め寄った。
「何が?わたしは、何もあの瞬間に連れていくとは言っていない」
イオは平然とそう言った。
アリスは反論できず押し黙った。
「イオから話は聞いた。アリスは、再び五年生に転入ということになる。ちょうど冬休みも今日で終わりじゃからのう」
ダンブルドアは穏やかにそう言った。
「そうですか・・・。分かりました」
アリスは渋々そう返事をした。
「組分けの儀式から始めねばならん故、今日はどこの寮にも属していないということになる。今夜はセブルスの部屋で休みなさい」
ダンブルドアは微笑みそう言った。
「そうですか・・・。分かり・・えっ!?」
アリスは耳を疑った。
「校長!冗談が過ぎます!!」
セブルスが眉間に皺を寄せ抗議した。
「昔のよしみではないか。さあ、もう夕食の時間じゃぞ」
ダンブルドアは、聞く耳など持っていないようだった。
アリスとセブルスは追い出されるかのように校長室を出た。
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