azalea
□第3話
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レンは息を切らし立ち止まった。そこは広い庭だった。
「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう?ブレイクといると調子狂うな。うまく・・・隠せないや」
レンはベンチに座りそう言った。
「何を隠すんだ?」
レンは驚き声のした方を見た。そこにはギルバートが立っていた。
「あれ?今日はもう戻ってきたの?」
「ああ」
ギルバートはそう言って隣に座った。
―ギルか・・・。そういえば、ギルとはほとんど話したことないなぁ。
沈黙が流れた。どちらもそうお喋りというわけではなかったのだ。
「さっき、ブレイクと言い合いになってただろ?」
ギルバートが口を開いた。
「見てたの?」
レンは驚きそう言った。
「ああ。走っていくお前を追いかけてきたんだ」
「へえ。ギルがオズ以外に興味を示すなんてことあるんだね」
「なっ、オレは別に!」
「ブレイクって不思議だよね。私にはすごく遠い存在な気がする・・・」
レンは苦笑を浮かべ言った。
「確かによく分からん奴だが・・・。お前は近付きたいのか?ブレイクに」
「え・・・?」
レンは目を見開きギルバートを見た。
「そんな風に聞こえたんだが・・違うのか?」
「そっか・・。私、ブレイクに近付きたいんだ。はは・・・馬鹿みたい」
「どうしたんだ?」
ギルバートは訝しげにレンを見て言った。
「好きなのに、近付きたいって思ってることに気付いてなかった。まだ、これが現実だって信じられない気がしてるのかもしれない」
レンは自嘲的な笑みを浮かべ言った。
「今、レンはここにいる。だから、これが現実だろ?」
ギルバートは、さも当たり前であるかのように言った。
「うん、そうだね。ありがとう」
レンは嬉しそうな笑みを浮かべ言った。
「・・・そういう顔できるんだな」
ギルバートは少し驚きながらそう言った。
「え?」
「ちゃんとした笑顔ってまだ見たことなかったからな」
「そっか。私、笑えるんだね」
ギルバートは優しく微笑んだ。レンからしてみれば、ギルバートのこの笑顔の方が意外だった。
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