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□第5話
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アリスは、リリーにお礼を言い一人で大広間を出た。しばらく歩いたところで、後ろから呼び止められアリスは足を止め振り向いた。そこには、セブルスが立っていた。
「アリス・・・その・・昨日は・・・ごめん」
セブルスは途切れ途切れにそう言った。
「え・・・」
アリスは驚き目を見開いた。
「アリスを誘ったのは、妥協策っていうわけじゃない。友達として・・・一緒にと・・そう思ったんだ」
セブルスはとても言いづらそうに言った。
「セブルス・・・」
アリスは嬉しさのあまり泣いてしまいそうだった。
「でも、アリスは僕とは行けないんだよな」
「違うの・・・ホントはすごく一緒に行きたい。でも、私はドレスが着れないから・・」
アリスはすぐさまそう言った。
「ドレスが着れない・・?」
セブルスは訳が分からないと言った顔で言った。
「どこか空き教室に行って話そう」
アリスは辺りを見回しそう言った。
アリスとセブルスは、空いている教室を見つけその中へと入った。
「セブルスにだから話すし見せるね」
アリスはセブルスに背を向け、シャツのボタンを外し始めた。
「なっ、何してるんだっ!?」
セブルスは驚き顔を背けた。
アリスは、ボタンを途中まで外し左の肩をゆっくりと出した。そして、セブルスの方へと向いた。
セブルスは、恐る恐るアリスを見た。そして、驚き目を見開いた。アリスの左肩から二の腕にかけてが、ひどくただれていたのだ。
「火傷の跡なの。小さい頃に母親に熱湯をかけられて・・こんな風に気持ち悪くなっちゃった」
セブルスは何と言っていいのか分からないのか、何も言わないままアリスを見ていた。
「こんなじゃドレス着れないでしょ?」
アリスは泣きそうな笑みを浮かべ言った。
「僕に見られるのが嫌か?それとも、みんなに見られるのが嫌か?」
セブルスはアリスに近付きそう言った。
「周りの目なんてどうでもいい。でも、セブルスに不快な思いをさせたくないの」
「僕は何とも思わない」
セブルスはすぐにそう言った。
セブルスは、そっとアリスの火傷の跡に触れた。
「痛むのか?」
「ううん、大丈夫」
アリスは首を横に振り言った。
「一緒に行こう」
セブルスは微笑みながらそう言った。
「う、うん」
アリスは涙を流しながら頷いた。
「・・・何も言えなくて・・すまない」
セブルスは困ったように言った。
「え?」
アリスは不思議そうに小首を傾げた。
「こういう時、何て言えばいいのかよく分からないんだ。本当だったら、何か気のきいた言葉をかけるものだろ?」
「一緒に行こうって言ってくれたのが最高に嬉しかったよ」
アリスは満面の笑みでそう言った。
セブルスは、照れたように頭を掻いた。
「あ、ドレスはねリリーが一緒に選んでくれるの!リリーは、前に医務室で包帯巻く時に火傷の跡見て知ってるんだ」
「そうか」
セブルスは、微かに笑いそう言った。
アリスは、リリーが言っていた通り、セブルスは自分を大切に思ってくれているのだと実感しとても嬉しかった。
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