azalea

□第2話
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レンは額に汗をかきうなされていた。パッと目を開け勢いよく体を起こした。









「夢か・・・。ここは・・シャロンちゃんの屋敷。じゃあ、今はこれが現実か」
レンは部屋の中を見回し言った。









大きな窓に近付き、重いカーテンを開けると外はもう明るくなっていた。









レンは、しばらくソファで座って誰かが来るのを待ってみた。だが、誰も来る様子はなかった。









「勝手に出歩いていいのかな・・?それに、昨日の部屋がどこにあるか覚えてないし・・・」
レンはそう言って部屋を出た。










レンは、長い廊下を当てもなく歩いた。そして、完全に迷子になった。











「広すぎる・・・。ここどこ・・?うー・・・ブレイクー!」

















「何です?」
ブレイクがレンの背後からぬっと顔を出し言った。










「うわぁぁぁ〜!!」
レンは驚き声を上げた。











「せっかく探しに来てあげたというのに、失礼な反応ですねぇ。迷うくらいなら部屋で大人しくしていればいいものを」










「誰も来る様子がなかったから・・」










「あ、そう。さあ、行きますよ」
ブレイクは、そう言ってレンの手首を掴んだ。









レンの心臓は飛び跳ねた。好きな相手だからというのはもちろんあったが、それだけが理由ではなかった。










「あ、あ、あの・・手・・・」
レンは口をパクパクさせ言った。










「手?・・・ああ、もしかして照れてるんですかぁ?意外とうぶなんですねぇ」
ブレイクはクスリと笑い言った。









「とりあえず離して・・。心臓がもたない」









「そんなに・・?」
ブレイクは、そう言って手を離した。











それから、ブレイクは何も言わずレンの隣を歩いた。レンは、自分の隣にブレイクがいることが嬉しくて堪らなかった。これは夢じゃない。現実なんだ。













「何ニヤニヤしてるんです?気色の悪いガキだな」
ブレイクはレンを見下ろし言った。









「えっ?ニヤニヤなんてしてないけど・・」
レンは慌てて顔を元に戻し言った。










「してましたー。今、顔を元に戻しましたー」
ブレイクは袖を口元に当てそう言った。










「してない!してないよ!!」
レンは顔を真っ赤にし言った。










「おはようございます、レンさん。ブレイク、レンさんをあまりいじめてはいけませんよ」
ドアが開きシャロンが出てきて言った。










「別にいじめてなどいませんよ」
ブレイクはにっこりと笑い言った。








レンはシャロンに促され部屋の中へと入った。









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