azalea
□第6話
1ページ/4ページ
レンは、用意された部屋のベッドに横になったが腕の傷が痛みなかなか寝付けなかった。ようやく眠りに落ちても、悪夢ばかりみて激しくうなされていた。
幼いレンは、一人でお人形遊びをしていた。そこへ、長い黒髪の女がやってきた。女は何も言わずレンの髪を掴み床に叩き付けた。
「お母さん・・・痛いよ・・」
レンは涙をボロボロ流しながらそう言った。
「うるさい!!」
レンの母親は、そう言ってレンの首を絞めた。
「やめ・・・て・・おかあ・・・さん・・」
母親は手の力を緩め泣き崩れた。そして、レンを一人残し部屋を出ていった。
「行かないで・・・お母さん・・。一人にしないで・・・」
誰かに頭を撫でられている感覚がしてレンは目を開けた。
「大丈夫かい?ひどくうなされていたけど」
ヴィンセントがレンの顔を覗き込みながらそう言った。
ヴィンセントは、ベッドの端に腰掛けレンの頭を撫でていた。レンはボーっとしていたが、頭を撫でられていることがとても心地よかった。
「私の・・何がいけないの?」
レンは虚ろな瞳でそう言った。
「君は何も悪くないよ。悪いのは僕たちを苦しめる奴らの方だ・・・」
ヴィンセントはレンの耳元でそう囁いた。
レンは瞼を閉じ涙を流した。
「君は僕と似ているね」
ヴィンセントはそう呟きレンの頬を撫でた。
「ヴィンセント様、お客様です」
エコーがやって来て言った。
「どうやらお迎えが来たようだよ」
ヴィンセントはフッと笑い言った。
「お迎え・・・?」
レンは小首を傾げ言った。
「着替えて客間においで。エコー、案内してあげてね」
ヴィンセントはそう言って部屋を出ていった。
レンは、着替えをしてエコーについて客間に向かった。
.