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□第3話
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三本の箒に辿り着き、温かい店内にアリスは本当にホッとした。バタービールはとても美味しかった。
「セブルス、口の上についてるよ。髭みたい」
アリスはクスクス笑いながら言った。
セブルスは慌てて口の周りを拭いた。そんなセブルスを見て、アリスはますます笑った。
ハニーデュークスはとても混雑していた。セブルスはその混み具合にうんざりした様子だった。アリスはさっさと買い物を済ませ、外で待っていたセブルスの元へと向かった。
「セブルス、お待たせ―」
「あ、アリス」
セブルスの隣にはリリーがいて、アリスを見て微笑んだ。
「リリー」
リリーの素敵な笑顔に、ついアリスもつられて笑顔になってしまう。
「友達とはぐれちゃって」
リリーは困ったように眉根を下げた。
「どこか行きそうな所はないのか?」
セブルスが言った。
アリスはその声色に思わずセブルスを見た。自分と話す時とは明らかに違う。とても優しい声色だった。
―そりゃそうか。リリーのことが好きなんだもんね。
「アリス・・大丈夫?顔色が悪いけど」
リリーが心配そうにアリスの腕に触れた。
「大丈夫!」
アリスは、そう言ってリリーの手を払いのけた。
リリーもセブルスも驚いたようにアリスを見ていた。
「あ・・・」
アリスはどうしていいか分からず固まった。
アリスは、その場から逃げ出すように走り出した。
「最低・・最低!何であんなことしたの!?」
アリスは走りながらそう言った。
慣れない雪に足を取られアリスは派手に転んだ。
「なんて醜いんだろう・・・」
アリスは体を起こしそう呟いた。
自室に戻り、アリスは雪で濡れた服を脱ぎ捨てた。
「こんな服着てもセブルスの目に私は映らない!セブルスは私のことが迷惑で堪らないんだから・・・」
アリスはやり場のない想いを声にし叫んだ。
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