NOの場合。
「にーのぉー」
そよそよと秋風が葉を揺する。
目の前には秋風に葉を揺すられる大木と、ふにゃっとした笑顔を送りながらおれの名前を呼ぶリーダー。
「なんですか?」
自分の声が自然と優しくなるのがわかる。
「んとねっ、選んでほしいの」
「選ぶ?」
目の前に突き出されたのは、拳。
しかも両手。
「……?」
「右手か左手っ」
「ああ、」
なるほど。
どっちかに何かが入ってるって訳か。
「んー…じゃあ、右?」
「おお、右か…」
「…悪かった?」
「ううん、はいっ」
「……?なに、…っ!?」
コロン、と差し出されたのは1つの鍵。
「え…、これ、どこの…鍵?」
「…おいらさ、実家出て新しい家に引っ越すの」
「……うん」
「んで…、いっ…一緒に住んでくださいっ!//」
「…………」
「…………?//」
真っ赤な顔、上目遣いで頼んでくる。
「……ていうか…」
「…?」
「それってプロポーズ?」
「………ふえっ!?//」
「そ、そうなのかな…?//」
「…無意識かよ……」
「……ぅー…」
「まあいいや」チャリッ
「?」
「ほら、行きましょっか」
「え…」
「行くんでしょ?し、ん、きょ」
「……///」ぼんっ
「…ふ、可愛いなあ」
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