――――踊る、踊る



――――廻る、廻る



長い黒髪を風に揺らめかせ、貴方は夜の空を舞う。



――――廻る、廻る



――――踊る、踊る



「おい、何ボーッと見てやがんだテメェは」



気づけば、月下の舞踏は終わっていて。
いつの間にか神田は目の前にいた。



「任務は終わった。帰るぞ」



…神田が去った舞踏会場は虚ろに銀の穴をあけていた。



――――
―――――



私が思うに、神田の戦い方は一人ぼっちで完結しているのだ。
誰も寄せ付けず、広い夜空を一人で埋め尽してしまう。



『神田、あたし達恋人だよね』



「何だ突然。当たり前だろうが」



そう。それでも神田のセカイに私が入る余地はない。
神田が私を大切にしてくれているのは知っている。
私を愛してくれているのも知っている。
それでもやはり、神田のセカイは戦っているときのように、一人で完結しているんだ。



『神田』



「あぁ?さっきからなんなんだ?」



『神田は何を考えてる?』



「…は?」



『戦ってる時。何を考えてる?』



「…別に何も」



…何も考えていないから、《他》が入る余地のない戦い方ができるんだろうか。
周りから全てを排除しているような気さえする、完璧過ぎる戦い方。



「次の任務だ。行くぞ」



――――
―――――



全てを排除するということは、周りの命全てを刈り取っていくということでもある。
次々とAKUMAを壊していくその様は、相変わらず一片の隙もない舞踏のようだ。
辺りに死を撒き散らしながら、神田は夜空を踊り進む。



――――踊る、踊る



――――廻る、廻る




それはまるで





踊る死のワルツ
(全てを拒絶して)(一人踊る、死を呼ぶ舞い)(そこに私は入れない)







企画サイト様よりいただきました。
Thanks to『憂鬱アリスの詩編

題名の割りに暗いイメージにならなかった気がします…。
企画参加させていただき、ありがとうございました!



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