「なんで、神田と付き合ってるんですか?」
突然のアレンの問いは、時々自分でも不思議になることだった。
『なんでって…なんでだろ?』
思わず考え込めば、呆れたようなため息を吐かれた。
「自分でもわかってないんですか」
『うん。だってユウって俺様で暴君で冷血で六幻LOVEじゃん』
恋人にするには悪い要素しかないような気さえする。
「…お前の俺に対する評価はよーくわかった」
そこでいきなり背後から聞こえてきた怒りに満ちた低い声に体が硬直する。
恐る恐る振り向けば、般若面の神田がいらっしゃった。
『ユユユユウ!?いつの間にって痛い、痛いから髪掴まないで怖いから六幻向けないでっ』
うん、なんでこんな暴君と私付き合ってるんだろ。
顔はいいけど優しさとか求めるならむしろアレンとかラビとかのほうがよっぽど優しい。
「俺にそんなもん求めんじゃねぇよ」
『え、なに読心術?』
『心の声がだだ漏れなんだよ。おら、さっさと鍛錬行くぞ』
そのまま襟首を掴まれてズルズル引きずっていかれる。
あ、アレンの奴手を振ってやがる。あっさり見捨てやがって畜生、覚えてろ。
そのまま森で鍛錬。恋人相手なんだからもうちょっと手加減してくれてもいいじゃないかと言いたくなるくらいやられた。
「体力つけねぇからあっさりバテんだよ」
『男と女の体力一緒にすんなー…!駄目だ疲れた。叫ぶのもかったるい』
疲れて足に力が入らない。今日これ以上鍛錬したら明日一日立てないのは確実だ。
木にもたれかかればもう立つ気も失せた。
『私は今日はもうパスー…』
「そうか。俺はもう少し鍛錬していく」
そう言ってとっとと森の奥に行ってしまった。
疲れきった恋人置いていくか普通!?
『ひでー…ホントなんであんなのと恋人なんだろ…』
あ、なんか涙出てきそう。
でも好きで付き合ってるんだから泣きたくない。
葛藤しているうちに、なんだか力が抜けて、そのまま私は眠ってしまった。
――――
―――――
目が覚めたら、少し日が落ちかけていた。
昼から鍛錬していて潰れた時はまだ日が高かったから、少なくとも一時間以上寝てたらしい。
『う〜ん…寝たらちょっと楽になったな。節々痛いけど』
ゆっくり立ち上がれば、体の上にかかっていた物が落ちた。
『ん?これって…?』
落ちたのは、黒いコート。
そして、長い形状とローズクロスとくれば、ユウの団服しかない。
……ヤバい。顔がにやける。
『時々こーゆーことしてくれちゃうからなぁ…』
だからきっと、好きで好きで仕方ないのだ。
本当に時々、鍛錬より、六幻より、大切にされているように感じられるから。
優先順位
(少なくとも六幻よりは)(大切にされていると思うから)
企画サイト様より頂きました。
Thanks『10sweet』
…ツンデレ神田?これをツンデレと言っていいのやら。
企画参加させていただき、ありがとうございました!
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