一周年フリリク

□Time!
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〜ver.空〜

春のうららかな日差しが窓から注ぎ込まれ、綱吉は暖かさに誘われた眠気を振り払おうと、大きく伸びをする。…しかし、徹夜の疲れと心地よさにあっさり挫折した。


「おい、何サボろうとしてんだ」


優雅に珈琲をすする元カテキョーのお叱りに苦笑を返す。


「一休みしようと思っただけだって」


「書類の片付けがキリのいいところにいったわけでもねぇのに何言ってやがる」


「…もう一晩徹夜でやってるんだからちょっとくらい休んだっていいじゃんかー…」


相変わらず読まれたくないところまで容赦なく心を読むリボーンにぼやきながら机に突っ伏す。
途端に眠気が津波のように押し寄せて、あ、これはだめだ思うと同時に意識が薄れていく。


「今働いてないと後悔するぞ」


後の負担が大きくなることくらいわかってる──声にならない呟きをもらし、そのまま本気で眠り込もうとしたその時、ドアが開く音がした。


「パパはおしごと中ですか?」


聞こえてきた声に一瞬で夢見心地の思考が覚醒した。


「いや。サボって寝てやがる。熟睡中だから起こすなよ」


「はーい」


何言ってんだよリボーン!!
──心中悲鳴を上げるが、顔を上げるに上げられない。今顔を上げれば愛しい娘は自分のせいで父親を起こしてしまったと自分を責めるだろう。
誤魔化そうにも空の幼いながら有する超直感に嘘はきかず、ただ顔を伏せているしかなかった。


「で、空はなんの用で来たんだ?」


「あのね、きのうパパがかえってこなかったから、おしごといそがしいのねってママが言ってたの。つかれてるかなって言ったら、わたしがかおを見せればパパ元気でるかもしれないって言ってたの。だから…」


空が懸命に声を潜めて話す内容に自分をタコ殴りに殴りたくなった。
こんなに可愛い娘が自分のために駆けつけてくれてるっていうのに俺は狸寝入りしてるってどんだけだぁぁああ!!


「なるほどな。それで居住区の屋敷を抜け出してまでツナに会いに来たってことか」


「うん!」


にやり、リボーンの笑いがこちらに向けられたのを感じて俺はますます自分を罵った。


「─────────」


「わかった、そうするね」


何かリボーンが耳打ちしたらしく、空が綱吉のもとにかけよってきた。
思わず顔を上げそうになりながらも堪える。
綱吉が葛藤している間に空がそっと机に体を乗り上げる気配がした。


「おしごと、がんばってね」


ちゅ、と。ほおに。なにか。柔らかい。ものが。当たった。気が。
………………ってぇぇぇええええっっっ!!


「リボーンさん、ありがとうございました!」


はにかんだような声が遠ざかると共にドアが閉まる音がした。空の気配が遠ざかっていくのを感じて綱吉は呆然と顔を上げた。


「い、今…」


恐る恐るリボーンに顔を向けると、悪戯が成功したような至極楽しげな笑みが向けられた。


「頑張れよ、お父さん?」


もちろんこのあとのことは言うまでもなく死ぬ気で仕事を終え、夜には愛しい妻子のもとへ帰った。



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