一周年フリリク

□Time!
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〜ver.大和〜

朝でありながら凄まじい熱気がイタリアの町並みに降り注ぎ、石畳を焦がす。
しかしそんなことは全く関係なく、クーラーの稼働している涼しい室内で全く別種の熱い会話がなされていた。


「ボンゴレの歴史、前回話した内容はきっちり覚えてるな?今日は初代に続き、二代目の頃のボンゴレについて話すぞ!」


「はいっ!」


熱い会話というか、獄寺の熱い講釈と大和の楽しげな返答には多分に温度差が感じられる。
が、それに関しては既に矯正を諦めていた。


「ボンゴレ二代目は今のボンゴレの隆盛まで基盤を広げたお方だ。この方のおかげで今のボンゴレの強大さがあると言っても過言じゃない」


「はい!」


「もっとも、その過程には過剰とも思える武力行使があったらしい…だからこそ、殆ど武力を用いず今のボンゴレを保っている十代目の偉大さがわかるだろう!」


「はいっ!」


時々混じる十代目自慢にさえ大和はしっかり返事をし、満面の笑みを浮かべてノートをとっている。
その様子に最近、獄寺は怒りより不安を覚えるようになった。


「(こいつ…言われたことには全部頷いてるが、その内容について本当に考えてんのか…?)」


獄寺は休暇の度に大和にボンゴレやマフィアの知識を叩き込み、大和はそれを水を呑むように吸収している。
一度聞いたことは忘れず、理解も欠けていないことは確認している。五歳という年齢に釣り合わない理解度や思考力は獄寺にして感嘆するほどのものだ。
だがその懸念は全く別次元のもので…要するに、素直すぎる、気がしているのだ。


「(ちょっと試してみっか…)おい、大和」


「ん、なに?」


「一代目は実は宇宙人で、地球外から来た超科学を駆使してボンゴレを隆盛させたんだ」


「そうなんだ!!」


「当然十代目はその血をひいてらっしゃって、あんなふうに強いんだぞ」


「スッゲー!!」


目を輝かせて獄寺を見る大和。
信 じ や が っ た コ イ ツ !
という獄寺の心の叫びに気づくわけもなく。獄寺は自分の危惧がばっちり的中していたのを理解した。


「悪い、今のは嘘だ」


「えー、なんだ、そうだったのか」


少し残念そうだが、獄寺の言うことをあっさり受け入れる。
つまり…素直過ぎて教えられたことを疑うということをしないのだ。
これは性格の矯正が必要だろ…!と呑気に笑っている息子の顔を横目に見つつ決意を固めたが…その道のりの遠さを思って獄寺は始める前から肩を落としたくなった。



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