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□好きの理由
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「ねぇ阿近さん」
「何だ」
「スキ?」
【好きの理由】
休日の朝から来たかと思えばこの質問。
何かと思えば…
「人に聞く時は自分から」
そう促せば修兵は頬を赤らめながら言う。
「好き…だょ//」
「俺も」
そう言えば嬉しそうに笑う。
その後俯き考え込み始めてしまった修を見つめる。
整った顔。
切れ長な目に長めの睫毛。
形のいい薄い唇。
ほどよくついている筋肉。
いきなり顔を上げた修兵と目が合った。
「俺、阿近さんに言ってほしいんです!!」
「何を」
「好きだって…」
何を思ったのか寂しそうにまた俯いてしまった。
一体何を言い出すかと思えば…
「じゃあ、俺もいっこ質問」
「…なんですか?」
「なんで俺なんだ」
ずっと疑問に思っていた。
修兵くらいになれば言い寄ってくる女もたくさんいただろうに。
それに、修兵は松本が好きだったはずだ。
何回か相談にのったりもした。
「そ、れは…」
心底言いにくそうにまた俯いてしまった修兵を見る。
俺はこんなことを聞いて何と答えてほしかったのか。
松本の方がいいと言われれば満足なのだろうか。
「俺、は阿近さんが…好きだから…」
「…」
「好き、なのは…阿近さんだから…だよ?」
「!」
あぁ、俺は何を心配していたのだろうか。
俺は修兵に好きだと伝えたことすらない俺が、修兵の気持ちを疑うなんて。
修兵が一番、不安だったに違いないのに。
「ぅわっ!!阿近さん…?」
修の腕を引いて腕の中に閉じ込める。
驚いている修兵の耳元で甘く囁いた。
一回しか言わねぇから、よく聞いとけよ?
「愛してる、修兵」
「………!阿近さん…」
俺が修兵を好きな理由?
そんなもん
君が君でいるだけで。
(阿近さん。)(あ?)(もっかい言って…)(却下。)
たくさん言ってやれるようになるのは、まだ先。
-END-
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