君がいることで完璧にしているもの
□せめて隣が、あなたじゃなければ
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「てめぇ、敵か?」
ザンザスに睨まれながらのこの状況で口を開くのは容易なことじゃない。
わなわなと震えそうな唇を無理矢理動かす。
『敵じゃ、ない』
「ならなんだ。てめぇはどうしてここに来た?」
『…、』
「説明できねぇなら殺す、それだけだ。」
『…、スピアッジャファミリーに…』
「あ゙ぁ゙?」
『…スピアッジャファミリーにうちを、連れて行って…!!』
一瞬の静寂。
スクアーロは驚いたような表情をしていた。
ザンザスも、一瞬だけ驚いた顔していたように見えたけど、本当に一瞬だけ。
すぐに彼は口角を上げて笑い出した。
「ブハーッ、てめぇスピアッジャに行って何するつもりだ?」
『…なんだって、』
「あぁ?」
『なんだっていいじゃん。』
「はっ、…ふざけてんのか?」
さらにギロリと睨まれる。
けれどうちはスピアッジャファミリーに行って何をすればいいのか知らない。
スピアッジャファミリーのところへ行けば分かるって、ティーグレが言ったから…ただそれだけ。
『…ふざけてない。』
そう言って、ザンザスを見つめる。
普通の人だったらこれを睨む、と言うんだろうけどザンザスの睨みを前にして私の睨みなんか視線を感じる、くらいなんだろう。