爆走の手助け

□第6話
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「ボスの体調、悪くなってんるんだ。」


ディーノのところへ行こうと思って扉に手をかけようとした時、ロマーリオさんの声が廊下から聞こえてきた。
それは恐らくディーノに向かって言われた言葉で。


『…』


私はただ、その場で呆然とするしかなかった。
とてもじゃないけど、今からディーノの部屋に行こうなんて思えない。
ディーノが今、どんな気持ちでいるか、考えずともわかる…。
そしてこの日、私はある事を決意した―――。




それから一週間、私はキャバッローネ低でお世話になった。
ディーノのお父さん…ドン・キャバッローネにも会いに行ったけど、体調が回復しないまま、何も話をすることもできないまま、この日が来てしまった。


イレゴラーレとの船上での会談の日が―。


「なぁ、…マジでオレが行かないといけないのか?」

『何言ってんの、今更。ディーノが言い出したんじゃない。』

「だから、あれはその場の…、……!!」


「頑張れよ、ディーノ!」

「キャバッローネ魂を見せてやれ!」


港に向かうまでの通りに、この街の人たちが居て、ディーノに激励の言葉をかける。


『ほら、街の人も応援してるし、頑張って』

「……」


さすがに緊張するのは分かる。
この会談がうまくいくなんて限らない。むしろイレゴラーレから時間も場所も決められたんだから、向こうでやられる可能性だって否定できない。
私だって、明るく振るまおうとしても、内心不安だもん。

 
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