金色の羽根

□第一話
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「葛城(カツラギ)ー。悪いがコレを社会科準備室に運んどいてくれ。急な呼び出しがあって急いでるんだ」


丁度授業が終わった休憩時間。第3理科室を出た所で、世界史兼HR担当の教師に呼び止められてドサッと渡された。

渡された物を見てみると、歴史的価値のある建物が写った画用紙サイズの資料だった。

「は…はぁ…」


「それじゃあ頼んだぞ」


決して快い返事をしたわけじゃないのに、先生は資料を渡すと、あっという間に行ってしまった。


その後ろ姿を見て、渡された資料を思わずグシャリと歪めてしまった。


「あんの脳天ハゲオヤジめ…。ボクはパシリじゃないってーの!」


小声で悪態を吐いただけではイライラが治まらなかったので、資料でもビリビリに破いてしまおうかとも考えたが、後片付けをするのも自分だということに気が付いたので、止めておいた。


「はぁ…」


資料をもう一度眺めた後、大きなため息を吐き、塵一つない廊下をのろのろと歩き始めた。




我慢だ我慢…。





そう自分にいい聞かせて。





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