金色の羽根
□第二話
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「おはようございます。葛城君」
「…おはよ」
朝から爽やかスマイルを向けてくる和風美人さんに挨拶を返した。
「何だか眠そうですね?夜遅くまで勉強でもしていたんですか?」
「…まあ。そんなとこ」
気のない返事を返しても、秋武君は全く気にせずに話し掛けてくる。
はぁ…。あれから一週間か…。
秋武君が転校してきてから一週間。
その間、秋武君はずっとボクと一緒にいた。
転校してきた最初の日、転校生恒例の質問タイムでも、他のクラスメイトをまともに相手にせず、得意なんだかよく知らないけど、あの爽やかスマイルで相手を圧倒していた。
スマイルにはそんな使い道があったなんて知らなかったよ。まあ、あんな方法が使えるのは秋武君ぐらい綺麗な人じゃなきゃ意味ないだろうけどね…。
ボクはというと、あの“秋武財閥の御曹司に気に入られた眼鏡”という何とも嬉しくないフレーズで、学校中に出回っている。
そのせいで、廊下を歩けばジロジロと観察でもしているかのように見られるし、何の意味もなく睨まれる。とんだ迷惑だ。彼がその事について気が付いているかというと、何とも微妙なところ。
まだ転校してきたばかりだから、ボクの日常を知らず、変わっているということに気付いていないのか。それとも、気付いていて、わざと関係ないかのように振る舞っているのか。
ボクは後者であると思う。ボクだって馬鹿じゃない。ただ迷惑を被って、ひたすら我慢し続けるような事はしない。彼と一週間一緒に居たという事は、彼を観察する時間が一週間あったという事だ。
その結果分かった事は…。
彼は笑顔を盾に、本心…本性を隠しているということ。
彼は、自分の顔が綺麗なことを熟知していて、笑顔をつくっているんだと思う。彼は絶対、何でもかんでも笑顔で済ませられると思ってる。
フンッ!見てろよ!絶対に皆の前で本性を暴き出して、ボクに関わるのを止めたいって思わせてやる!!
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