金色の羽根
□第三話
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雲一つない真っ青な空。
正に真夏の太陽という感じの日差し。
日本らしい湿気を含んだムッとした空気。
グッと腕を上に伸ばす。
「う〜ん。今日も良い天気だ」
「そうですね。でもムシムシして嫌ですよ。暑いならカラッとしていてくれた方が良いんですけどね」
「………」
せっかく人が清々しい朝を体感して気持ち良くなっている時に、鬱になりそうな声が聞こえてきたんですけど、気のせいかな?
現実逃避をしようと、右隣りにいるであろう人物を無視して、そのまま歩いて行こうとしたら、急に何かに妨げられた。
ボクは認めない。隣りには誰もいない。誰も…。
「莉羅、何無視しちゃってくれてんのかな?」
神様お願いします。今すぐボクを透明人間にして下さい。
「な、ななな何言ってんだよ紫斗!む…無視なんか全然全くしてないよ!?」
「うん。莉羅、嘘吐くのは止めようね。思いっ切り吃ってるから」
うぅ…ボクの口の馬鹿!今ので、肩を掴んでいる手の力が強くなったじゃないか!
「ほんっと暑いッスね!何だか肩も汗ばんできちゃいましたよ!」
「そうですか?そんな事ないと思いますよ。安心して下さい」
何か急に表紫斗に戻ったんだけど…。
そんなことしたって、全っ然安心出来ないから!
さり気なく「離してくれ」っていう気持ちを込めて言ったのに、綺麗さっぱり無視してくれちゃって!
何この虚しさ!朝の清々しい気分は何処にいっちゃったの!?
「…紫斗ってさ、ボク以外に友達つくる気あるの?言っておくけど、ボクにはまともな友達なんかいないからね?紹介しろって言われても無理だからね?」
「何言ってるんですか。そんなの端から期待していません。友達が欲しいなら、むしろ莉羅から離れた方が良いですからね」
ひ…ひでぇーー!!!
そこまで言う!?ってか何か本性バレてから、毒舌になってない!?
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