金色の羽根
□第五話
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大きくて頑丈そうな門を潜り、石畳の道を歩く。校舎までは距離がだいぶあり、途中には何だか分からないモニュメントが置いてある。
校舎は別々だが、学校の入り口である校門は文系も理数系も同じ。途中から道が二手に分かれていて、そこからまた少し行くとやっと校舎に辿り着くという無駄に広くて不便な造りなのだ。
まだ校門を潜ったばかりなので、文系と理数系とが入り混じっている。
こうやって見ると、共学だと感じるけど、二手に分かれた瞬間、男子校と女子校になっちゃうんだよな。
分かれ道でガラッと周りの景色が変わり、グレー一色になってやっと校舎まで辿り着くことが出来た。
いつも通りに階段を上り、いつも通りに廊下を歩き-----
「お?葛城じゃねぇか!」
----いつも通りにはならなかった。
「おはよう…。八乙女君」
「おう!おはよう!」
茶色に染められている髪が、日に当たって、より一層明るくなっている。
八乙女君は、朝練があったのか部活の時に来ているTシャツにウィンドブレーカーのズボンを履いていた。それに、頬に汗が伝っていた。
「なんか、朝からお疲れ様」
「はは。葛城も朝練するか?結構キツいけどな」
八乙女君の姿を見れば分かるよ。運動も良いけど、今のボクにはちょっと余裕がないからな。
「あ。早くしないと着替える時間なくなっちゃうよ?」
ボクはそこまで早く登校しているわけじゃないから、もうすぐでHRが始まってしまう。
「ゲッ!やっべー。そういやネコ丸はまだ来てねぇのか?」
八乙女君は、キョロキョロとボクの後ろを見ながら聞いた。
ボクもハッとして後ろを見たが、和風美人の姿は何処にもなかった。
良かった…。紫斗っていっつもいつの間にか背後に居るから、ボクの心臓がパニックを起こしちゃうんだよ。紫斗に会ってから、確実に1ヶ月分ぐらい寿命が縮んだ。
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