裏かどうかは微妙なところ

□憎い川
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 未だかつてこれほどまでに心が冷えたことがあっただろうか。


 急速に機能を失いゆく己の身体をどうすることもできずに横たわれば、他人からの苦痛と屈辱が精神を引き裂いて、何もかもをほとばしる電流が運び去った。





 とぷり、とぷりと、己の身体の下から単調な音の繰り返しが聞こえる。
 ゆるゆると浮かび上がる意識はやがて、己の置かれた状況を把握しだす。

 身を臥せていたのは木の床、ではなく小振りな手漕ぎ舟の底だった。

 漕ぎ手の姿はどこにもなく、舟を進めるのは川の流れのみ。
 辺りは川霧に包まれて何も見ることが出来ず、己の置かれた状況を咄嗟には判断しかねた。
 
 
 
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