裏かどうかは微妙なところ
□『竜鱗の鎧』こぼれ話
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その翼は運び手である証し
この地からかの地へと留まる事を許されず、その背に在る者のみを共に旅立つ
空を渡る風の路に身を踊らせ、海を越える波の音を羽ばたきに乗せ、約束の地へと翔んで行く
時に背の重みを失い、大地に降り立ち行き惑う者在り
草の息吹にかの者の声を探し、降り注ぐ雨に鬣を震わせ、生まれ換わりの環廻る音を聴く
哀しみの藍に染まる翼がやがて羽ばたく時、懐かしき匂いの風が吹き、遠く遠くの産声を草原に運ぶ
その翼は運び手である証し
約束の糸を紡いだ儚き姿を不滅の生命に刻み、高く低く織り上げるは竜の唄
陽の光を弾く海の面にも似た、身を心を覆う鱗の連なり輝きを
貴方はその瞳で見るのでしょうか
2008/06/15