文(伝奇物多し)
□壱話
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ここ数日の雨で、夜も大分更けた今時になっても、部屋の空気は湿気て重苦しい。
とくにこの場所は、明かりが外にもれないようにするため窓も二重三重となっており、換気でさえままならない。
そんな中、私は訪れるかどうかさえ判らない一人の男を待っていた。
ここへなど、来ない方がお互いの為だ、と思いながら……
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