ナインコール

□B夏の風物詩
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 顔面を押さえ、粉々になった面もろとも倒れてゆく相手に、男は声を投げ付ける。



「ケッ… ジャシン様も……うっかりだぜ」

 そう呟きながら、どう、と前のめりに倒れ伏した。
 それと同時に、地面に叩き付けられた少年からボウン、と煙が上がり、姿をかき消す。
 その背後の茂みから、術者の実体が現れた。
            「影芝居の術、成功だってばよ……」
 
 
 倒れた男の背には、中身の空になった小型の注射器が突き刺さっていた。
 


 
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