06/08の日記

23:47
拍手御礼+小ネタメモA
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 ポチポチしてくださった方、誠にありがとうございました。
 少し日にちが開いてしまいましたが、前回の小ネタメモの続きであります。


 城門前で決戦の続く最中、石垣の一角を囲う堀池から縁へと上がる者の姿があった。その者は夜陰に紛れ、淀んだ水面をミズスマシのように渡り越し、縁に差し掛かる笹の茂みを縫って陸へと登り、荷のように肩に担いだ人影を草影へと下ろす。

 対岸にも攻め手の兵の姿が見受けられたが、大半はジワジワと城の燃え燻る煙と、その向こうの戦いに気を取られている。暗がりを見通し、窺っていた者は振り返らず後に声掛け、帯背に挟む夜光液の染みた札を指差した。
 後に控えた者は予め聞かされた手筈を脳裏で反芻し、この札の印を追い決してはぐれるな、と己の肩に手を置き言い聞かす父の姿を思い返す。その父や家臣達が身を挺し、生き延びよ、とだけ受けた命を噛み締め、札を預かる忍の男の背に無言で頷く。
 背後に覚悟の決まる気配を察し、若君、絶対に俺の真後ろから逸れぬように、と低い小声で囁いた忍の男が小太刀を抜き、クナイの柄を噛んで暗草藪に歩みを踏み出した。


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 と言うところで、まだ今しばらく続きます。
 サイトトップ絵の鉛筆ラフ描きが何とな〜くの脳内イメージであったりしたのでした。

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