06/22の日記
21:34
雑記+小ネタ話B
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お久し振りの日記であります。
連休欲しい!
欲を言えば三連休したいっ、と願いつつ小ネタ話の続きです。
草間に紛れ、敵兵の間隙を縫う足取りは遅々として進まず、それでもどうにか松の繁る林まで辿り着く頃には、背後の城が山形の炎を昇らす篝火の如くなっていた。
忍の男は肩越しに若君を見やり、片頬にうすらと光る涙の跡を見て見ぬ振りをした。その強く握り締められた両拳を守り抜く、それが今己に科せられた使命である。そう自らに強く言い聞かせる合間にも、林の奥から迫る気配の数は増してゆく。
ヒョウ、と空切る音が走り、忍の男の構える小太刀に弾かれた手裏剣が地へと突き刺さる。間髪入れずに二手三手と飛び道具の雨が注ぎ、打ち落とし損ねた刃が男の顔と腕に当たった。
ギリ、と食い締める歯の音を立てながら男は前のめりに倒れ込む。
松葉の間から僅かに漏れ届くは月明かり。声上げず倒れ伏す、男の後ろ背を照らしてそこにある札を光らせた。その背に庇われ無傷であった若君は、最期と悟り懐刀を抜き打って己が喉首を割こうとする。
しかしその切っ先が細首に届くより前、頭上から投げ放たれた鎖分銅が若君の腕を絡め捕る。それでも懐刀の柄をきつく握り締めて離さぬ手に分銅が打ち下ろされ、更に投げられた鎖が両脚へと巻き付いてその身体を引き倒した。
鎖使いの忍が二人、梢や幹の影から姿を現し、続いて二人が地に倒れたままの男の脇へと降り立つ。動かぬ男の首と心の臓目掛け、容赦無く刀が振り下ろされた時、林の幾手かから呼び笛が吹き鳴らされた。
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