11/13の日記

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背面獣(キマイラ)への手向け
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 ある時の仕事は一風変わったモンだった。

 高ぇ山のてっぺんまで登って、途中で拾っといた枯れ枝で火を起こし、角都が依頼人から預かった手紙をソコへとくべた。
 空気が薄くってチロチロとしか燃えねぇモンだから、煙ばっかがいぶって狼煙みたいに白く上がる。
 カラッカラの青い空に、ソイツが跡形も無くなっちまうまで角都のヤツは動かなかった。

 用が済んで人っ子一人いねぇ山の腹を降り、とっぷり夜の暮れた頃行きに使った野営地に戻れた。
 相変わらずいつも通りの無口な連れが、今度は多少ばかり勢い付いて燃える火の向こうで不意に口を開く。
 ボソボソと、らしくもねぇ感じで感傷に浸ってるっぽいヤツに、オレは鼻の先でフンと笑ってからこう言い放ってやった。

 そんな心配は無用だっつーの、角都よ。
 オレがオメーに殺られたらよ、オレは雲の上でも地べたの下でもよ、そのどっちとも関係ねぇトコ行くんだからな。

 どーしても手紙かなんか送りてぇって言うんなら、オメェ自分の背中で焚き火するコトになっちまうぜ。
 ンなコトしたらオレもオメェも超あちぃってなるからな! あの世でバーカッて舌出してやるぜ。
 

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