08/04の日記

21:43
七夕
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「みんなっ!揃ってるわね!」

部室のドアは、いつか壊れるんじゃなかろうかと俺は密かに思った。

そして、どこからかっぱらってきたのか、我らが団長さまの手には、またしても立派な笹が握られていた。

それを、古泉を顎で使いながら、部室の隅にくくりつけ、固定した。

そして、俺達の前には、短冊が三枚ずつ置かれた。

俺が青、古泉が緑、長門が白、朝比奈さんがピンク、ハルヒが赤…、とどこかで見たような配色だ。

「あぅぅ…」

朝比奈さんが四苦八苦しながら、願い事を必死に書いている姿は非常に可愛らしい。

因みに、早速笹にくくりつけているハルヒの短冊を見ると、

・宇宙人が現れますように
・未来人が来ますように
・超能力者に会えますように

ハルヒらしいと言えば、ハルヒらしい。
だが、その願いはもう叶っているし、第一、織姫と彦星だってそんな願いを叶えてくれと言われても困るだろう。

ガタンと、椅子が床に擦れる音がした。
意外なことに、長門だった。

「有希もう書いたの!?見せて見せて!!」

ハルヒがいの一番に食いついた。
正直、俺も興味がある。

「え―と、何々…

・痩せたい
・彼氏がほしい
・金が欲しい

意外ね、有希…でもま、願い事なんてこんなもんよね…」

長門―…、あれ本気なのか…。

「一般的な女子高生が七夕に願う事を集計し、三位までを書いた」

成る程……しかし、もう少し自分のキャラ考えろよ、長門……

「私も出来ました」

朝比奈さんが嬉しそうに書き終えた短冊は速攻でハルヒに引ったくられていた。

盗み見た限りでは、

・織姫さんと彦星さんが会えますように
・織姫さんと彦星さんが幸せになれますように
・織姫さんと彦星さんが会える日が多くなりますように

何と言うか、朝比奈さんらしい。

「みくるちゃん目を覚ましなさい!!
七夕なのよ!?自分の願い事をしなきゃ!!やつら一年に一度とか言いながら、実は毎日会ってるかもしれないでしょうが!!」

夢もへったくれもない。

「お前は何書いたんだ?」

机から乗り出して覗き込んでみたが、緑色の短冊は、配られたときのままだった。

「無いのか?願い事」

「あるにはあるんですけど、とても、短冊にかけるような事ではないので…」

「例えば?」

「そうですね…」

古泉は暫く考え込んだようだが、じき、「思い浮かびません」と答えやがった。

「お前は物欲が無さすぎる」

「そうですか?」

苦笑する古泉に溜息をついて、青い短冊に一つ、願い事を書いた。

とても、切実だ。

「何書いたの?」

「見るなっ」

「いいじゃないっ、ちょっとくらい!!」

「願い事っつーのは、人に見せたら須らく叶わないもんなんだよ」

うそっ、とハルヒは言って、笹に吊した短冊を中表に折った。

…もう、みんな見てるぞ。

「さて、俺も吊すか」

「何書いたんですか?」

見たがる古泉を「教えん」と一瞥し、折り曲げた短冊を吊した。

開いた窓から風が舞い込み、笹の葉はガサガサと五月蝿かった。
何がサラサラだ。

「風流ですね」

「此処が教室じゃなかったらな」

枯れた葉は風に掠われ、ランニング中の生徒の頭に落ちた。いい迷惑だ。

「来年も出来たらいいわね」

「今年卒業だろ」

「あら、SOS団は不滅よ!」

それでも、いつかはSOS団も無くなるんだろう。

その時は、二人で七夕がしたい、なんて思っちゃってる俺は重症なんだろう。



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うpしわすれ

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