小説

□「純血種の求める先」
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どうして――…
どうして閑様は俺を求めてくれないんだ…
零は吸血鬼にしたのに 俺を吸血鬼にはしてくれない
血は与えてくれるけど血を求めてはくれない

何で…教えてよ、閑様――…







「どうした…壱縷」
一人で桜を眺めていた壱縷に近寄る

「閑様…いえ、別に」
「何か、私に聞きたいことがあるのか」
純血種にとって心を読むなど 容易いことだった


「…閑様は俺のことどう思っているのですか」
「どう…とは?」
「惚けないないでください!」
壱縷に声が荒くなる

「―…人の子のくせに吸血鬼に近づいてくる 興味深くて変な奴―だが?」
「―っつ!!!」


バッ!!
閑の帯を掴み自らの唇をよせる・・・が

その唇が閑の赫い唇にふれることはなかった


ヒラリ―・・・と桜の花びらが舞い落ちる
「すみません… 少し顔を洗ってきます」
ザッ ザッ…






壱縷の想いはわかっている
私の壱縷への本当の想いはわかっている

けれどそれには気づかないフリをしよう 純血種の求める先には
どうやら破滅しかないらしい・・・
お前を失いたくはない



壱縷は私を愛してくれた2人目の、大切な人の子だから―――…











      〜end〜

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