まほろ駅前
□こんな寒い日は
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「雪だ。」
明日の仕事の予定を確認しながら窓の方から聞こえる声に耳だけ傾ける
ああ、どうりで冷える訳だと思ったが別に返事を返すほどでも無いなと意識を目の前のカレンダーに戻す。
「雪だよ。」
「…」
「ねぇ、雪だってば。」
こうなると行天は意地でも俺が返事を返すまで同じことを壊れたレコードのように繰り返す。仕方なくそうだな、と返事を返すと満足したようによく降るねぇと話を続けてきた
「寒い。」
「そうだな」
「せめてこたつでも買おうとか思わないの?」
「そうだな」
明日いるものを考えながら適当に返事を返していると行天は拗ねたように口を尖らせ俺の側までよってきた
「ちゃんと聞いてる?」
「俺は今忙し…」
カレンダーから視線を外しあしらおうと口を開いたら案外行天の顔が近くにあった。びっくりして固まっていたら開いた唇を塞がれてしまった。
抵抗するため体を行天の方に向けようとしたがいつの間にか背後からすっぽりと抱きしめられる形になっていて動けそうにない。行天が見た目よりも力が強いことを知っていたからこれ以上の抵抗は無駄だろうとしばらくの間大人しくキスに答えていた。
「…っおい、苦しい…」
息苦しさに堪え切れず顎を押し上げるとあ、ごめんと素直に唇を放してくれた。依然抱き締められたままだが。
「こうしてると暖かい?」
「そうだな。」
「セックスしよう?」
「そうだな……っ?!」
失敗した。と思った時には既に行天の手が多田の服の中に侵入した後だった
「暖めてよ。」
「マジかよ」
「うん。」
首筋をじっとり舐め上げられ胸の突起をくりくりと弄ばれる。
「うっ…わ、分かった。」
行天のその行為に明日の予定はすっかり頭から飛んでいて代わりにこの先与えられる刺激を待ち望んでいた。