まほろ駅前

□call me
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「ハルチャン。」

ソファーでタバコを吸いながら読んでいた雑誌の記事に『春休みのお出かけスポット!』という特集が載っていた。
春という文字が目に入ってそういや行天の名前って“春彦”だったよなと思い出す。思い出すってのも可笑しいがいつも“行天”って呼んでるし特に下の名前で呼ぶ理由も無いので仕方ない。
ただ何となく凪子さんに習って名前を言ってみた。

「いきなりどうしたのアンタ」

「いや、春って文字見たら行天の名前が浮かんだから」

いつものソファーで何が可笑しいのか天井に煙を吹き上げながらいつものように行天が笑う。



「ケイチャン。」

「な…」

「啓介。の方がよかった?」

慣れない呼び方に柄にも無くドキッっとし、顔が熱くなる。

「真っ赤だよ。どうしたのケイチャン?」

その言葉に多田は余計に顔が赤くなり、何か言おうと口をぱくぱくしていたところを3日ぶりに鳴った事務所の電話に助けられた。




END

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