第1部
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ー…その頃、アレンは蜜柑に連れられて森に来ていた。森は、薄暗く鳥の声もしない。
そして方向音痴の2人は、案の定迷っていた。
「…ハァ〜ιここどこやろ〜。」
「本当にこのあたりにラビ達はいるんでしょうか」
迷子兄妹はそんな会話をしながら、かれこれ3時間以上経っていた。
それでも、暗くなる前にはこの森を抜け出したいという一心で歩き続けていた。
すると、ぱっと開けた所に出た。そこは大きな広場のようになっていて、可愛らしい丸太づくりの家が真ん中に建っていた
「ここは…どこでしょう」
アレンが広場を見回してみた。すると家の傍で誰かが木を切っていた。
もっと目を凝らしてみてみると、それは人間ではなく…
『テディベア』だった。
テディベアが斧で木を切っていた。
「え゛」
"僕は夢を見ているのか"!?
目を擦ってみても、アレンの目に見えているのは、テディベアが木を切っているようにしか見えなかった。
「やっぱり…ベアだ!」
「え?」
アレンが蜜柑の方に振り向くと、既に彼女の姿は大空の向こうに宙を舞っていた。
「ぎゃあああっ!」
「蜜柑ちゃん!」
落ちてきた蜜柑を間一髪でアレンは受け止めた。そして横を向くと、さっきのテディベアがスカイアッパーの決めポーズをしていた。
キラーンとテディベアの目が光る
「あ…あの熊は…」
「ベアや…」
「ベア?それが、あの熊の名前なんですか?」
「そうや別名『北の森の番人』って呼ばれていて、めちゃめちゃ強いねん」
「はぁ?」
…なんでもありすぎてついていけない。
そのとき、ベアが、蝶のように舞い、蜂のように刺すように蜜柑にまたスカイアッパーを繰り出した。そして勿論それは蜜柑に命中した。
「うわぁっ!!だ、大丈夫?蜜柑ちゃん?」
アレンは蜜柑のそばにかけより、安否を心配しているときだった。
ベアがアレンめがけて走ってきた。
「え!?ちょっ…わわわわ(焦)殴られるー!!」
反射的に目を瞑り、防御態勢に入った時だった。
(ギュッ)
「…へ!?」
「ギュッ……?」
予想外のベアの行動に2人とも呆気に取られた
なんと、ベアが………アレンに…………
懐いていたからだった!!
「ええええええ!?」
ちなみにギュッはアレンにベアが抱きついた音だった。