卒業

□3月2日
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空を見上げると晴れ渡った青空で、雲が2つだけ浮いていた。

雲は甘い味がするのか、ということについて2時間ほど国語準備室に入り浸ったこともあったっけ?
この三年間を振り返ってみるとあたしはたった1人のために尽くし続けたことしか思い浮かばない。






『銀ちゃん』


「おぉ、卒業おめでとさん」


『正直・・・、嬉しくないし』






卒業式の前日にあたしは振られること覚悟で銀ちゃんに告白した。
分かってたとおり、教師と生徒という関係では付き合うことはできないと言われた。でも生徒の中では一番話しやすい、と言ってくれた。

それだけでも十分嬉しかったし、今は後悔なんてひとつもしていない。






「銀魂大学だろ?近ェじゃん」


『もう会いに来ないよ・・・、もっと好きになっちゃう』






ごめんね、こんなこと言わない方がよかったかもしれないけど。
少しでも銀ちゃんの気を引きたくて。無駄だと分かっていても好きなものはしょうがないよね。

困らせてごめんね。わがままばっかりでごめんね。沢山の思い出をありがとう、先生。さようなら、先生――・・






『ばいばい、先生』






流した涙を見られたくなくて、振り返らずに手を振った。
さようなら、あたしの恋。


その時、後ろで銀ちゃんの声がした。ありがとう、ありがとう、大好きでした。






「風邪、引くなよ!」






最後の優しさ、貴方はどこまでも人に優しいんだね。
大学に行ったらきっと銀ちゃんよりも良い人を見つけて幸せになってやるんだ。

それでも忘れられなかったら会いに行ってもいいかな?だってもう、生徒と教師じゃないんだもん――・・





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卒業企画/3月2日


華穂(10'0220)




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